ミャンマー憲法を読んでみる~前文~

 2021年2月1日、ミャンマー国軍によるクーデターが発生し、現在もミャンマー国内は混乱している。いつまでこの混乱が続くのか、不安な日々を送っているに違いないと思われる。
 今回のミャンマーのクーデターに関するニュースや報道をうけ、個人的にミャンマー連邦共和国憲法にどのような規定が設けられているのか気になり、日本語訳を初めて読んでみた。

 ミャンマー連邦共和国憲法(以下、「ミャンマー憲法」と言います。)は、全15章で構成されており(条文は全457条)、第1章「国家の基本原則」の前に「前文」が設けられている。

 前文には、憲法制定に至る経緯・歴史や基本原則などが明記されている。

前文

 ミャンマーは、長い歴史を有する国家である。我々諸民族は、一致団結して暮らしてきており、主権を有する独立した国家として建国し存立してきている。
 1885年、我々は植民地主義者の侵略により国家の主権を完全に失った。その後すべての民族・国民が、一致団結して反植民地運動及び民族独立運動に身を捧げた結果、1948年1月4日に、再び主権を有する独立国家として存立することが可能となった。
 独立を早期に達成するため、憲法を早急に起草し、1947年9月24日に議会がこれを承認し、独立が達成された時には、国家はこの憲法に基づき、議会制民主主義を採用した。しかし、国家が民主主義制度をうまく機能させることができなかったため、1974年に一党体制を基礎とする新たな憲法を起草し、国民投票により採択し、社会主義的民主国家として国家を再び建設することとなった。その後、1988年に国内において発生した状況のため、この憲法も廃止することとなった。
 その後、国家平和開発評議会は、国民の希望に則り、複数政党制民主主義と市場経済制度を、自国に適合する形で実現できるよう、精力的に国家建設に励んできた。
 国家の将来に長期的な利益をもたらし、かつ、堅固な憲法を持つことが必要不可欠であったため、国家平和開発評議会は1993年から国民会議を招集し開催してきた。
 国民会議においては、政治、安全保障、行政、経済、社会及び法律等の様々な観点からの経験豊富な人物や、国内に存在するすべての地域からの民族の代表達が参加した。
 国民会議の開催に際しては様々な困難や妨害に直面したが、2003年に決定された7段階のロードマップに従って、固い決意と粘り強さで、2004年に国民会議を継続することとし、堅固な憲法の出現に向け、憲法の基本原則及び詳細な原則を決定し、2007年9月3日に国民会議は成功裡に終了したのである。
 我々すべての国民は、国民会議が決定した基本原則及び詳細な原則に基づき、このミャンマー連邦共和国憲法を起草した。
 我々すべての国民は、
一 連邦の分裂阻止、民族の団結及び国家主権の堅持という国家の目標をひたすらに遵守することを決意する。
一 国内において、法の下の平等、自由及び平等という普遍的価値を発展させつつ、大多数の国民の安寧を確実なものとしていくため、絶えず行動をとりこれを守っていくことを決意する。
一 国内において、民族平等の精神により、真の愛国心である連邦精神を堅固なものとして育み、常に手を取り合って共に暮らしていくことを決意する。
一 世界平和と諸国家との協調関係を目指し、平和裡に共存できることを維持すべく、努力していくことを決意する。
 
この憲法を、ミャンマー歴(M.E.)1370年カソウン月黒分の10番目の日(西暦2008年5月29日)に、国民投票にて承認し採択した。

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