ミャンマー憲法を読んでみる~第4章④

第4章「立法」
管区域・州議会

第4章「立法」の最後です。
日本国憲法の「立法」は、第41条から第64条までの24か条で、地方自治体の「条例」を含めても30か条もありません。
日本とミャンマーでは国家の構成が異なるのでミャンマー憲法のような規定になるのでしょうが、重複した内容の条文も見受けられますので、もう少し整理された条文構成も取れたのではないかと思います。

管区域・州議会の構成
第161条
 管区域・州議会を以下のとおり構成しなければならない。
 ⑴管区域・州の各郡より2名ずつ選出された議員
 ⑵管区域議会には、管区域もしくは当該管区域内に自治区域を持たず、国家の全人口の0.1%以上の人口を持つ諸民族の議員が各1名含まれる。
 ⑶州議会には、州もしくは当該州内に自治区域を持たず、国家の全人口の0.1%以上の人口を持つ諸民族の議員が各1名含まれる。
 ⑷管区域・州議会には、国軍司令官が法律にしたがい指名した軍人議員が全議席の4分の1含まれる。

管区域・州議会臨時議長の選出
第162条
 管区域・州議会の臨時議長の選出は、
第110条にある人民院の臨時議長の選出に関連する規定にしたがい行う。

管区域・州議会議長及び副議長の選出
第163条
 管区域・州議会の議長及び副議長の選出は、第111条にある人民院議長及び副議長の選出に関連する規定にしたがい行う。

管区域・州議会議長の職務
第164条
 管区域・州議会議長は、
 ⑴管区域・州議会の会議を統括しなければならない。
 ⑵大統領が管区域・州議会に出席し演説を行うことを希望する場合、大統領を同会議に招待しなければならない。
 ⑶管区域・州統轄大臣が演説を希望する場合、必要な準備を進めなければならない。
 ⑷管区域・州議会の会議にて審議中の案件に関し、必要があれば、この憲法に基づき設立された管区域・州レベルの機関を代表する委員もしくは人物を同会議に招待し、当該案件につき説明させる権利を有する。
 ⑸この憲法もしくは法律に基づき規定された他の任務を遂行しなければならない。

管区域・州議会議長及び副議長の責任と地位の停止
第165条
 管区域・州議会議長及び副議長の責任と地位の停止は、第113条にある人民院議長及び副議長の責任と地位停止の規定にしたがう。

第166条
 管区域・州議会議長及び副議長の義務、権利及び特権は、法律でこれを定める。

管区域・州議会の委員会及び組織の設置
第167条
 ⑴管区域・州議会は、憲法の定める権能の範囲内で、立法、少数民族関連事項等を調査するため及び議会の作業に役立てるため、必要な時に同議会議員をもって委員会もしくは組織を設置することができる。
 ⑵管区域・州議会は、必要に応じ、適切な国民を委員会もしくは組織に加えることができる。
 ⑶管区域・州議会は、必要な委員会もしくは組織を設置した際、当該委員会もしくは組織の人数、義務、権利、特権及び任期について定めなければならない。

管区域・州議会の任期
第168条
 管区域・州議会の任期は、人民院の任期と同一である。人民院の任期が終了する日をもって終了する。

管区域・州議会議員の要件
第169条
 管区域・州議会議員は、
 ⑴第120条に定める人民院議員の被選挙権と同一の資格を満たさなければならない。
 ⑵第121条に定める人民院議員の被選挙権を喪失させる規定は、管区域・州議会においても適用される。

管区域・州議会の軍人議員の要件
第170条
 管区域・州議会における国軍司令官の指名した軍人議員は、同議会における他の議員と同一の資格を満たさなければならない。

管区域・州議会の会合
第171条
 ⑴管区域・州議会の会期は、人民院会議が始まった日をもって開始されるものとする。
 ⑵管区域・州議会の第1回常会は、同議会の会議が始まった日から15日以内に召集されなければならない。

第172条
 ⑴国家平和開発評議会は、この憲法の発効後、管区域・州議会の第1回常会を召集しなければならない。
 ⑵管区域・州議会議長は、この憲法の規定に基づき職務を継続し、次の管区域・州議会の第1回常会を召集しなければならない。

第173条
 ⑴管区域・州議会議員は、管区域・州議会第1回常会において、管区域・州議会臨時議長の前で付表4のとおり宣誓をしなければならない。
 ⑵宣誓を済ませていない議員は、自らが初めて出席する管区域・州議会の会議において、管区域・州議会議長の前で宣誓をしなければならない。

第174条
 管区域・州議会議長は、少なくとも毎年1回、管区域・州議会の常会を召集しなければならない。また、前回召集した常会と次回召集する常会の間の期間が12か月を超えてはならない。

第175条
 管区域・州議会の会議において実施される行為は以下のとおりとする。
 ⑴大統領の演説の記録
 ⑵大統領の発言及び管区域・州議会議長が承認した他の発言の読み上げ及び記録
 ⑶管区域・州統轄大臣の演説の記録
 ⑷法案の提出、協議及び決定
 ⑸管区域・州議会がこの憲法及び他の現行法の規定に従い履行すべき事項に関する協議及び決定
 ⑹管区域・州議会へ提出された報告書に関する協議、決定及び記録
 ⑺動議の提出、協議及び決定
 ⑻質疑応答
 ⑼管区域・州議会議長が承認した事項の履行

第176条
 管区域・州議会の決定、同意及び承認が必要とされる事項に関しては、以下のとおり処理しなければならない。
 ⑴管区域・州議会が会期中の場合は、その会期において協議及び決定がなされる。
 ⑵管区域・州議会が会期中でない場合は、直近に開かれる管区域・州議会の会期において協議及び決定がなされる。
 ⑶当該事項の内、国民の利益のために迅速な対応が求められる事項に関しては、特別会期もしくは緊急会期を召集の上、協議及び決定がなされる。

第177条
 管区域・州議会議長は、必要に応じ、管区域・州議会の特別会議又は緊急会議を召集することができる。

第178条
 管区域・州議会議長は、管区域・州統轄大臣の要請があった場合、可及的速やかに管区域・州議会の特別会議もしくは緊急会議を召集しなければならない。

第179条
 管区域・州議会議長は、同議会議員総数の4分の1以上の要求があった場合、可及的速やかに管区域・州議会の特別会議を召集しなければならない。

第180条
 ⑴管区域・州議会の会議は、同会議に出席する権利を有する連邦議会議員総数の過半数が同会議の初日に出席した場合、有効に成立する。また、出席議員が過半数に満たなかったために会議が成立しなかった場合は延期される。
 ⑵管区域・州議会の会議は、前項の規定に基づき延期された場合及び有効に成立してさらに延長された場合、同会議に出席する権利を有する同議会議員総数の3分の1を超える出席が得られれば有効に成立する。

第181条
 ⑴管区域・州議会の会議における投票をもって決定すべき事項は、この憲法が他の方法を規定している場合を除き、出席議員の多数決により決定される。
 ⑵管区域・州議会議長もしくは副議長の投票は認められない。ただし、賛否同数の際には決定票を投じなければならない。

第182条
 管区域・州議会は、議員が同議会の許可を得ずに同議会の会議を15日間連続して欠席した場合、定められた方法に則り、当該議員の地位が空席であると宣言することができる。ただし、延期された会議に関しては、上記の15日間に含まれないものとする。

第183条
 管区域・州議会は、議員の一部に空席がある場合でもその任務を執行する権利を有する。また、同議会の会議に出席する権利を有しない人物が同議会の会議に出席の上、投票を行ったことが後日判明した場合でも、当該会議における決定は無効とならない。

第184条
 管区域・州議会の職務及び記録は公表される。ただし、法律もしくは同議会の決定に基づき制限される職務及び記録は公表されない。

第185条
 ⑴管区域・州議会議員は、この憲法及び管区域・州議会法の規定に反しない限り、管区域・州議会及び同議会の委員会及び組織において自由に投票及び発言を行う権利を有する。当該議員に対しては、同議会における言動を理由として、管区域・州議会法を除く法律に基づく如何なる措置もとられてはならない。
 ⑵この憲法に基づき設立された管区域・州レベルの機関を代表する委員もしくは人物は、管区域・州議会もしくは同議会の委員会への出席を認められた又は招待を受けた場合、憲法及び管区域・州議会法の規定に反しない限り、管区域・州議会もしくは同議会の委員会及び組織において自由に発言する権利を有する。当該人物に対しては、同議会における発言を理由として、管区域・州議会法を除く法律に基づくいかなる措置もとられてはならない。
 ⑶前2項で定めた人物が傷害事件を起こした場合、当該人物に対し、管区域・州議会の規範、規定及び手続並びに現行法に基づく措置がとられなければならない。

第186条
 ⑴管区域・州議会に出席している同議会議員又は同議会議長の許可もしくは招待により同議会に出席している人物を逮捕する必要が生じた場合、管区域・州議会議長に確実な証拠を提出しなければならない。管区域・州議会議長の許可を事前に得ることなく、当該議員もしくは人物を逮捕してはならない。
 ⑵管区域・州議会委員会及び組織に出席している同委員会の委員を逮捕する必要が生じた場合、当該委員会等の長を通じて、管区域・州議会議長に確実な証拠を提出しなければならない。管区域・州議会議長の許可を事前に得ることなく当該委員を逮捕してはならない。
 ⑶管区域・州議会、同議会委員会及び組織が閉会中の際に同議会議員を逮捕する必要が生じた場合、逮捕理由を裏付ける確実な証拠を管区域・州議会議長に対し迅速に提出しなければならない。

第187条
 管区域・州議会によって又は同議会の許可を得て出版される報告書、文書及び議事録については、裁判の対象としてはならない。

法律の制定
第188条
 管区域・州議会は、付表2の管区域・州議会立法管轄事項表にある事項に関し、すべての管区域・州もしくは一部の管区域・州にて適用される法律を制定する権利を有する。

第189条
 ⑴管区域・州議会は法律を制定する際、
 (イ)この憲法に基づき設立された管区域・州レベルの機関に対し、当該法律に関わる規則、規範及び規約を公布する権限を委譲することができる。
 (ロ)関係機関もしくは当局に対し、当該法律に関わる通知、命令、指令及び処分を公布する権限を委譲することができる。
 ⑵法律の権限に基づき公布された規則、規範、規約、通知、命令、指令及び手続は、この憲法及び関係法律の規定と一致しなければならない。
 ⑶関係機関は、管区域・州議会が制定した法律に沿った規則、規範もしくは規約が公布された後、直近の管区域・州議会常会の場で、同議会議長が認めた手順に従い、当該規則、規範、規約を議員へ配布しなければならない。
 ⑷規則、規範もしくは規約が他の関係法律に一致しないことが判明した場合、管区域・州議会議員は、当該規則、規範、規約が配布された日から90日以内に当該規則、規範、規約の廃止もしくは修正に関し、管区域・州議会にて提議することができる。
 ⑸管区域・州議会が、規則、規範もしくは規約の廃止または修正の決定を行った場合でも同決定は当該規則、規範、規約に基づき同決定がなされる以前にとられた措置の有効性に影響を及ぼさない。

法案の提出
第190条
 ⑴憲法に基づき設立された管区域・州レベルの機関は、付表2にある管区域・州議会が立法権を有する事項に含まれる事項の内、自らの機関の運営事項に関する法案を規定の方法に則り管区域・州議会へ提出する権利を有する。
 ⑵管区域・州政府のみが提出する権利を有する管区域・州計画、年度予算及び課税に関する法案は、規定の方法に則り管区域・州議会に提出されなければならない。

第191条
 管区域・州議会議員は、付表2にある管区域・州議会が立法権を有する事項に関する法案を規定された方法に則り、同議会に提出する権利を有する。ただし、管区域・州政府のみが提出・決定の権利を有するとこの憲法が規定している事項を除く。

第192条
 ⑴この憲法に基づき設立された管区域・州レベル機関を代表する組織の委員であり、管区域・州議会議員でもある者は、国会の場で自らの組織に関連する法案もしくは他の事案に関し、説明、協議及び投票を行う権利を有する。
 ⑵この憲法に基づき設立された管区域・州レベル機関を代表する組織の委員であり、管区域・州議会議員ではない者は、管区域・州議会議長の許可を得て国会に出席している間、自らの組織に関連する法案もしくは他の事案につき説明及び協議を行う権利を有する。

管区域・州予算案の提出
第193条
 ⑴管区域・州議会は、管区域・州政府が提出する権利をもつ管区域・州の予算案を規定された方法に則り提出しなければならない。
 ⑵本条第1項にある予算案に関し、管区域・州議会は、連邦予算もしくは追加基金分配に基づき、州・管区域が連邦基金から得た財源を含む管区域・州予算を管区域・州統轄大臣に提出し、必要に応じ協議を行い、過半数の同意を得て、賛成、拒否及び減額を行わなければならない。その際、
 (イ)憲法に基づき設立された管区域・州レベルの機関の長および委員の給与・手当及び当該機関の支出
 (ロ)憲法に基づき設立された自治区域の指導組織の長及び委員の給与・手当及び当該組織の支出
 (ハ)管区域・州が返済する責任を有する債務、当該債務に関わる支出及び管区域・州の借入金に関わる他の支出
 (ニ)法廷による判決、命令、宣告にしたがってなされる支出
 (ホ)支出並びに州・管区域が制定した現行法にしたがってなされるその他の支出に関し、州・管区域議会にて協議を行う権利が認められる。ただし、当該支出の拒否及び減額は認められない。

第194条
 管区域・州議会は、管区域・州政府が管区域・州の予算を規定された方法に則り提出した場合、決定を下さなければならない。

法律の公布
第195条
 ⑴管区域・州統轄大臣は、
 (イ)管区域・州議会の承認を得た法案を受領した日から7日以内に、当該法案に署名の上、法律として公布しなければならない。
 (ロ)自治地区・地域の承認を得た法案を受領した日から14日以内に、当該法案に署名の上、法律として公布しなければならない。
 ⑵管区域・州統轄大臣が本条第1項で述べた所定の期限内に法案に署名せず、法律としての公布を行わなかった場合、当該法案は、当該期限の最終日に管区域・州統轄大臣の署名を得たものとみなされ、法律として公布される。
 ⑶管区域・州統轄大臣の署名を得たもしくは同署名を得たとみなされる法律は、官報にて公表されなければならない。当該法律は、同法律中に個別の規定が含まれていない限り、その公表の日をもって発効する。

自治地区・地域の指導組織
第196条
 自治地区・地域の指導組織に対し、付表3に定めた立法管轄事項に関する立法権を付与する。

人民院、民族院及び管区域・州議会議員の義務、権利、特権
第197条
 人民院、民族院及び管区域・州議会の議員の義務、権利及び特権は、法律でこれを定める。

法律の効力
第198条
 様々なレベルの議会及び自治地区・地域の指導組織が制定した法律の効力に関し、
 ⑴連邦議会、管区域・州議会及び自治地区・地域の指導組織が制定した法律もしくは他の現行法の規定が、憲法の規定に抵触する場合、憲法の規定を遵守しなければならない。
 ⑵管区域・州議会が制定した法律の規定が、連邦議会が制定した法律の規定に抵触する場合、後者の法律の規定を遵守しなければならない。
 ⑶自治地区・地域の指導組織が制定した法律の規定が、連邦議会が制定した法律の規定に抵触する場合、後者の法律の規定を遵守しなければならない。
 ⑷自治地区・地域の指導組織が制定した法律の規定が、管区域・州議会が制定した規定に抵触する場合、後者の法律の規定を遵守しなければならない。

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