ミャンマー憲法を読んでみる~第5章①

第5章 行政
連邦政府

第199条
⑴ 国家の行政の長は、大統領とする。

(イ)国家の行政権を連邦、管区域及び州に分散委譲する。
(ロ)自治区域における自治権については、この憲法の定めるところに従い分散委譲する。

連邦政府の構成
第200条
 連邦政府は、次の者により構成される。
⑴大統領
⑵副大統領
⑶連邦大臣
⑷連邦法務長官

国防・治安評議会の構成
第201条
 憲法又は法律により付与された任務を遂行できるよう、大統領が指揮する国防・治安評議会は、次の者により構成される。
⑴大統領
⑵副大統領
⑶副大統領
⑷人民院議長
⑸民族院議長
⑹国軍最高司令官
⑺国軍副司令官
⑻国防大臣
⑼外務大臣
⑽内務大臣
⑾国境大臣

大統領の責務及び権限
第202条
 大統領は、連邦議会の承認に基づき、次を行うことができる。
⑴連邦政府の省庁を、必要に応じて定める他、再編・増置すること。
⑵連邦大臣の定数を定める他、必要に応じて増減することができる。

第203条
 大統領は、連邦議会に対して責任を負う。また、副大統領は、大統領に対して責任を負い、大統領を通じて連邦議会に対しても責任を負う。

第204条 
 大統領は、次の権限を有する。
⑴恩赦を与える権限
⑵国防・治安評議会の勧告に基づき、特赦を与える権限

第205条
 大統領は、法律に従い、次の権限を
有する。
⑴名誉称号及び名誉徽章を授与する権限
⑵名誉称号及び名誉徽章の授与を取り消す権限

第206条
 大統領は、連邦議会の承認を得て、諸外国との外交関係の樹立もしくは断絶を行うことができる。また、大統領は迅速な対応が要求される状況下では、国防・治安評議会との協議を経て、外交関係を断絶することができるが、連邦議会から当該処置に関する事後承認を得なければならない。

第207条
 大統領は、法律に従い次の行為を行うこ
とができる。
⑴自国の外交官を任命及び召還すること。
⑵外国の外交官の任命に同意し、召還に関する通知を送付すること。
⑶外国の外交官から提出された任命状を受領すること。

第208条
 大統領は法律に従い、公務員組織の長を任命及び解任することができる。

第209条
 大統領は、法律に従い、
⑴連邦議会の承認を得て、国際・地域・二国間条約の締結、批准、廃棄及び脱退を行わなければならない。
⑵連邦議会の承認を必要としない国際・地域・二国間条約に関しては、締結、批准、廃棄及び脱退を行うことができる。

第210条
 大統領は、状況に応じて国家政策及び国家状況全般に関し、連邦議会、人民院及び民族院にて演説を行い、国家全土に対し声明を発する権利を有する。

第211条
 大統領は、必要があれば、連邦議会の
緊急集会又は特別会を召集するよう連邦議会の議長に求めることができる。

第212条
⑴大統領は、連邦議会が閉会中の場合、連邦予算を除く行政事項のうち、迅速な対応が求められるものに関し、法的効力を有する大統領令を公布する権利を有する。
⑵大統領は、前項に基づき発した大統領
令を取り消していない場合、大統領令を公布した日から60日以内に開かれる直近の連邦議会に大統領令を提出し、その承認を得なければならない。連邦議会が60日以内に開かれる予定がない場合には、連邦議会の特別会を召集し、その承認を得なければならない。
⑶大統領令は、連邦議会の承認が得られなかった場合、その日をもって法的効力を失う。
⑷大統領令は、連邦議会の承認が得られた場合、大統領が要求する必要な期日まで引き続き法的効力を有する。
⑸大統領令は、その公布日から60日以内に取り消された場合でも、直近の連邦議会に提出されなければならない。
⑹連邦議会がこの憲法に基づき決定を下す権利を有さない規定が大統領令に含まれている場合、当該大統領令は停止される。

第213条
 大統領は、
⑴国家への侵略が行われた場合、憲法に基づき設立された国防・治安評議会と協議を行い、適切な軍事行動をとる権利を有する。
⑵前項の軍事行動に関しては、連邦議会に提出し、その承認を得なければならない。
連邦議会が閉会中である場合は、臨時会を召集し、その承認を得る必要がある。
⑶連邦議会の賛成を得た場合のみ、開戦宣言及び戦争の終結を行うことができる。

第214条
 大統領は、憲法の規定に基づき連邦議会により可決し、制定された法律に署名をす
る。大統領の署名を得た法律は、官報によって公布されなければならない。

第215条
 大統領は、如何なる議会及び法廷においても、この憲法もしくは法律に付与された責務及び権利を行使してとった措置に関し、答える責任を有さない。ただし、憲法の下での大統領の弾劾に関する規定は、この限りではない。

連邦政府の行政権
第216条
 憲法の規定にしたがい、連邦の行政権は、連邦議会が法律を制定する権限を有する行政事項に及ぶ。

第217条
 憲法の規定に反しない限り、連邦の行政権は大統領に与えられる。ただし、本項は、連邦議会が信頼できる機関及び人物に対し責任及び権利を付与することを妨げるものではなく、かかる責任及び権利が大統領に付与されたとみなすものでもない。

第218条
⑴連邦政府によるあらゆる行政措置は、
大統領の名において行われる。
⑵大統領は、大統領が自らの裁量で処理すべき事項としてこの憲法で規定されているものを除き、連邦政府が執行する権利を有する事業及び連邦政府大臣並びに政府職員への同事業の割り振りに関する法令を制定する権利を有する。
⑶大統領の名で公布された指令及び締結された条約は、大統領が制定する規範に明示された方法に則り、その有効性を認められなければならない。また、当該指令及び条約の有効性は、大統領が直接的に措置をとっていないことを理由に否定されてはならない。
⑷前3項の各規定の一般性に影響を与えることなく、地域及び連邦政府事業の性質を踏まえた上で行うことができる。

第219条
 連邦政府は、国家の安定、平和及び法秩序の支配を維持する。

第220条
 連邦政府は、憲法の規定に従い、連邦政府の政策を立案しなければならない。また、同政策に基づき必要な事業を計画し、連邦議会の承認を得て同事業を実施しなければならない。

第221条
 連邦政府は、財政委員会との協議を得て作成された連邦年度予算に基づき、連邦予算に関する法案を起草し、憲法の規定に従い、連邦議会に提出し、その承認を得なければならない。

第222条
 連邦政府は、自らが提出した連邦予算案を連邦議会が会計年度終了前に承認できなかった場合、連邦議会が定めた最新の連邦予算に含まれる通常支出の範囲内において財源を使用する権利を有する。

第223条
 連邦政府は、憲法の規定に従い連邦議会が立法権を有する事項に関する所要の法案を連邦議会に提出することができる。

第224条
 連邦政府の省庁は、自らの管轄下にある政府機関が憲法及び現行法の規定に従い機能することを確保すべく、当該政府機関に対する管理、指示及び監督、調査を行わなければならない。

第225条
 連邦政府は、管区域・州政府及び自治地区・地域の指導組織が効率的及び成功裡に業務遂行できるよう、これらと協力及び協議する。

第226条
 連邦政府は、憲法に関する論争及び領土国境線画定を巡る紛争を除き、
⑴管区域同士、州同士及び自治地区・地域同士並びに管区域と州及び管区域・州と自治地区・地域の間で発生した行政上の紛争に関する協力、協議及び解決を行い、必要に応じ決定を下す。
⑵管区域・州と連邦直轄区域及び自治地区・地域と連邦直轄区域の間で発生した行政上の紛争に関する協力、協議及び解決を行い、必要に応じ決定を下す。

第227条
 連邦政府は、法律に基づき、
⑴必要に応じ、連邦に関する公務員組織を設置の上、同組織が果たすべき義務及び機能を規定する。
⑵必要な数の職員を任命する。

第228条
 連邦政府は、
⑴連邦議会が可決された行政上の決議を状況に応じて履行の上、その措置に関する報告書を連邦議会に提出しなければならない。
⑵国家の状況全般に関し、状況に応じて連邦議会へ報告書を提出しなければならない。

財政調査会の構成
第229条
⑴財政委員会は、次の者により構成される。
(イ)大統領を議長とする
(ロ)副大統領を副議長とする
(ハ)連邦法務長官を委員とする
(ニ)連邦会計検査院長官を委員とする
(ホ)管区域・州統括大臣を委員とする
(ヘ)ネーピードー評議会委員長を委員とする
(ト)連邦財務大臣を書記とする

(イ)大統領は、財政委員会の設置に際して、何らかの理由により委員の任務を担うべき人物がいない場合には、適切な人物を暫定委員として任命することができる。
(ロ)大統領は、財政委員会の設置について公表しなければならない。財政委員会のための命令、指令等については大統領または副大統領が任命した人物がこれを発表しなければならない。

財政委員会の責務及び権能
第230条
⑴連邦省庁及び連邦レベル機関の予算は、大統領が権限を与えた副大統領による検
査を受けた上で、財政委員会に提出されなければならない。
⑵管区域・州の予算は、大統領が権限を与えたもう一人の副大統領による検査を受けたうえで、財政委員会に提出されなければならない。
⑶財政委員会は、
(イ)連邦領土の支出、管区域・州への連邦基金の適切な分配、特別な事案に関する基金供与及び借款許可を含む連邦予算案もしくは予算の再分配案を連邦議会に提出しなければならない。
(ロ)執行すべき財政事項に関する提案を行わなければならない。
(ハ)確固たる財政制度の確立に向け連邦議会から法律に基づき委任された業務を遂行しなければならない。
⑷財政委員会は、管区域・州への適切な連邦基金の分配、特別な事案に関する基金供与、必要な借款の支払いを含む連邦予算案を連邦議会に提出するため、当該予算案を大統領へ提出しなければならない。
⑸財政委員会は、必要に応じ、財政専門家より助言を受けることができる。

連邦基金に支払うべき税及び歳入
第231条
⑴連邦は、付表5にある管区域・州が徴収する権利を有する税を除き、他のすべての税を法律に従い徴収の上、連邦基金に加えなければならない。
⑵管区域・州が徴収する旨規定されている収入及び税が連邦領土のために徴収される場合、連邦は、法律に基づき当該収入及び税を徴収の上、連邦基金に加えなければならない。
⑶連邦は、連邦基金を法律に従い使用する権利を有する。

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