ミャンマー憲法を読んでみる~第5章③

自治地区・地域の指導組織  

第275条
 自治地区・地域の行政機関を、自治地区・地域の指導組織(leading body)と呼ぶ。

自治地区・地域の指導組織の設置
第276条
⑴自治地区・地域は、自治区域としての地位は同一である。
⑵各自治地区・地域において指導組織を設置する。当該指導組織は、付表3に基づき分散委譲された立法権を行使する。
⑶自治地区・地域の指導組織は、最低10名の委員から構成するものとする。
⑷自治地区・地域の指導組織は、以下の者から構成される。
(イ)自治地区・地域における地区より選出された管区域・州議会議員
(ロ)治安もしくは国境地域に関する事項を処理するために国軍司令官が法律に従い指名 した軍人代表
(ハ)本項(イ)及び(ロ)の人物が選出した代表
⑸本条4項(イ)及び(ロ)に挙げられる自治地区・地域の指導組織の委員は、相互に協議して、自治地区・地域における地区より選出された管区域・州議会議員の中から適切な者1名を委員長に選出する。当該委員長の指名を管区域・州統括大臣を通じ、大統領へ提出しなければならない。
⑹大統領は、候補者を、自治地区・地域の指導組織の委員長に任命しなければならない。
⑺自治地区・地域の指導組織の委員長は、自動的に当該管区域・州大臣となる。従って、管区域・州大臣に適用される憲法規定は、当該指導組織の委員長に対しても適用される。
⑻当該自治地区・地域の指導組織の委員長及び委員は、
(イ)既に管区域・州を得ている民族以外の少数民族の内、当該自治地区・地域において生活しており、人口 10,000 人以上を有する民族から第169条に定められた管区域・州議会議員の要件を満たす者を1名ずつ選出しなければならない。
(ロ)自治地区・地域における委員が10名に満たない場合、最低10名を満たすため、当該自治地区・地域における住民の中から、管区域・州議会議員たる要件を満たす適切な者を必要なだけ選出しなければならない。 
⑼国軍司令官は、必要に応じ自治地区・地域の指導組織の委員総数の4分の1にあたる委員を、軍人から任命出来る。
⑽国軍司令官が法律に従い、自治地区地域の指導組織の委員として任命した軍人は、管区域・州議会議員の要件を満たさなければならない。
⑾(イ)自治地区・地域の指導組織の委員長は、当該組織の委員の名前を発表しなければならない。
(ロ)自治地区・地域の指導組織の委員長は、当該管区域・州統括大臣に対し直接責任を負い、当該管区域・州統括大臣を通じて大統領に対しても責任を負う。
(ハ)自治地区・地域の指導組織の委員は、当該組織の委員長に対し責任を負う。
(ニ)自治地区・地域の指導組織の委員長及び委員の任期、措置、辞任、解職及び空席の補充は、法律でこれを定める。
⑿自治地区・地域の指導組織の委員長及び委員の義務、権利及び特権は、法律でこれを定める。  

自治地区・地域の指導組織の自治権  
第277条
 この憲法の規定に反しない限り、自治地区・地域の指導組織の自治権は、以下の事項に及ぶ。
⑴自治地区・地域の指導組織が立法権を有する事項
⑵自治地区・地域の指導組織が、連邦議会により制定された法律に基づき履行する権限を有する事項
⑶自治地区・地域の指導組織が、管区域・州議会により制定された法律に基づき履行する権限を有する事項  

第278条
 自治地区・地域の指導組織は、連邦政府が国家の安全、社会の平和・平穏及び法の支配の確保に向けた措置をとる際、連邦政府を補佐する責任を有する。  

第279条
⑴連邦政府の政策に反しない限り、自らの領土の開発計画を作成し、管区域・州政府と同計画に関する協議を行わなければならない。
⑵年度予算案を作成し、憲法の規定に基づき管区域・州政府と協議を行い、承認を得なければならない。
⑶管区域・州予算に含まれる財源を規定された方法に則り使用する権利を有する。
⑷自らが提出した自治地区・地域の予算案を管区域・州議会が会計年度終了前に承認出来なかった場合、管区域・州議会が定めた最新の予算により認められる通常支出の財源を使用する権利を有する。  

第280条 
 自治地区・地域の指導組織は、自らの領土において業務を遂行している公務員組織の機能に対し、法律に従い、監督及び調整を行うことが出来る。  

第281条 
 自治地区・地域の指導組織は、自らの領土の状況全般に関する報告書を連邦政府及び州・管区域議会に提出しなければならない。  

第282条 
 自治地区・地域の指導組織は、連邦政府及び管区域・州政府から状況に応じて割り振られた事業を履行しなければならない。  

自治地区・地域の総合行政局 
第283条
 自治地区・地域の総合行政局の長は、当該自治地区・地域の指導組織の書記として職務を遂行する。また、自治地区・地域の総合行政局を当該自治地区・地域の指導組織の事務局とする。  

連邦直轄区域たるネーピードーの行政区分 
第284条
⑴連邦直轄区域たるネーピードーには、この憲法の効力が発生する日にネーピードー特別区域内に存在するすべての県及び郡が含まれる。
⑵大統領は、連邦直轄区域たるネーピードーに存在する県及び郡を、必要に応じて再編することが出来る。  

ネーピードー評議会の設置
第285条
⑴ネーピードー評議会委員長及び委員は以下の要件を満たさなければならない。
(イ)満35歳以上の者
(ロ)年齢制限を除き、第120条にある人民院議員に求められる資格を満たす者
(ハ)第121条にある人民院議員の被選挙権を喪失させるような規定に抵触しない者
(ニ)大統領が規定した他の要件を満たす者
⑵大統領は、
(イ)ネーピードー評議会を設置しなければならない。
(ロ)ネーピードー評議会委員長及び委員の要件を満たす人物を任命しなければならない。
(ハ)ネーピードー評議会において治安に関する事項を協議するため、国軍司令官が同評議会委員として指名した適切な軍人の名簿を受領しなければならない。
(ニ)法律に基づき、ネーピードー評議会委員長及び委員の数を必要に応じ定める。
⑶ネーピードー評議会委員長は、大統領に対し直接責任を負い、同評議会委員は、同評議会委員長を通じて大統領に対し責任を負う。
⑷ネーピードー評議会委員長もしくは同委員は、議員である場合、ネーピードー評議会委員長もしくは同委員に任命された日をもって議員を辞職したものと見なされる。
⑸ネーピードー評議会委員長もしくは同委員は、公務員である場合、現行の公務員規定に基づき、ネーピードー評議会委員長もしくは同委員に任命された日をもって公務員を退職したものと見なされる。
⑹国軍兵士は、ネーピードーの治安を協議するためネーピード評議会委員長もしくは同委員に任命された後も、国軍を辞職する必要がない。
⑺ネーピードー評議会委員長もしくは同委員は、政党党員である場合、ネーピードー評議会委員長もしくは同委員の職にある間、当該政党の活動に参加することが出来ない。  

ネーピードー評議会委員長及び委員の任期、辞職、解職及び空席の補充
第286条

(イ)ネーピードー評議会委員長及び委員の任期は、原則として大統領の任期と同一とする。  
(ロ)ネーピードー評議会委員長もしくは同委員が任期終了前に何らかの理由により自らの意志で辞職する場合には、大統領に辞表を提出して辞職することが出来る。
(ハ)大統領は、 
 (a)ネーピードー評議会委員長もしくは同委員が、与えられた義務を満足に果たし得ない時には、辞職するよう指示することが出来る。また、指示に従わない場合には、解職することが出来る。
 (b)措置をとらなければならない委員が、国軍司令官の指名した軍人である場合には、国軍司令官と協議しなければならない。
(ニ)大統領は、辞職、解任、死亡もしくは他の理由によりネーピードー評議会委員長もしくは同委員が欠けた場合、憲法規定に基づき新たなネーピードー評議会委員長もしくは同委員を任命することが出来る。その際に任命されるネーピードー評議会委員長もしくは同委員の任期は、大統領の残余の任期と同一とする。
⑵ネーピードー評議会の設置並びに同評議会の委員長及び委員の義務、権利及び特権は、法律でこれを定める。  

ネーピードー評議会事務局
第287条 
 ネーピードーの総合行政局の長は、ネーピードー評議会の書記として職務を遂行する。また、ネーピードーの総合行政局をネーピードー評議会の事務局とする。  

県及び郡レベルの行政
第288条
 県及び郡レベルの行政は、国家公務員に委任され、当該公務員によって遂行される。  

区又は村落区レベルの行政
第289条
 区又は村落区レベルの行政は、法律に従い、社会から尊敬を受ける高潔な人物に委任され、当該人物によって遂行される。  

公務員
第290条 
 職員の任命、昇進、退職、規範の施行、公務規範の指定及び公務員への措置は法に従って行われなければならない。  

第291条 
 国家公務員である国軍兵士の業務の性質は特別であるため、当該兵士に対しては国軍に関する法律に従った措置をとらなければならない。  

第292条
 国家公務員であるミャンマー警察職員の業務の性質が特別であることに鑑み、当該職員に関する個別の法律を制定しなければならない。 

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